【秋の七草】フジバカマの香りに癒されながらフラワーアレンジメント
「秋の七草」の一つ「フジバカマ」を使ったアレンジメントを作っていると、爽やかな香りが漂いました。
その香りに癒されながら心地よい気分でアレンジメントを作ることができました。
この記事では、秋にぴったりな「フジバカマ」について特徴や香り、水揚げの方法をご紹介します。
「秋の七草」としてだけでなく、フジバカマの香りにも興味を持っていただけたら嬉しいです。
秋の七草
「秋の七草」は、万葉集(巻8)に収められた山上憶良(やまのうえのおくら)の歌に、日本の代表的な秋の草花七種が詠まれたことに始まります。
秋の七草
『萩(ハギ)の花、尾花(オバナ)、葛花(クズバナ)、撫子(ナデシコ)の花、女郎花(オミナエシ)、また藤袴(フジバカマ)、朝顔(アサガオ)の花』
※朝顔(アサガオ)の花については諸説ありますが、現在では桔梗(キキョウ)の花という説が有力なようです。
春の七草は、「七草粥(ななくさがゆ)」としても食べられる薬草や野菜であるのに対して、秋の七草は、季節の変化を感じる鑑賞するための花が選ばれています。
フジバカマも「秋の七草」として、万葉の時代から秋の訪れを感じさせてくれる草花として親しまれてきました。
「秋の七草」
フジバカマの特徴
フジバカマは、キク科、ヒヨドリバナ属の多年生の植物です。
学名が「Eupatorium japonicum 」というところから、お花屋さんや園芸店などでは、「ユーパトリウム」という名前で園芸品種が売られているようです。
フジバカマは地下茎が大量に伸びて増えていく丈夫な植物なのですが、現在の日本には自生に適した環境が少ないために激減し、絶滅危惧種となっているようです。
今「フジバカマ」という名前で売られているものの多くは、サワフジバカマといってフジバカマとサワヒヨドリという植物との雑種だということです。
サワフジバカマは、フジバカマより茎に赤みが強く、花の色も少し赤紫色がかっています。
この特徴から見ると、私が仕入れてきたフジバカマも茎やつぼみが紫がかっているのでサワフジバカマのようです。
古来からあるフジバカマは、夏の終わりから秋の初めにかけて、直径5mmほどの小さな白っぽい花を茎の先端にたくさん咲かせます。
つぼみが開いて花が咲くと、細くて白い2本の花柱(雄しべ)が出てくるため、遠目にはふわふわとした花の印象に見えます。
とても小さなフジバカマの花ですが、その小さな花をよく見ると花弁が袴のようになっていることと、うすい藤色の花色から、漢字では『藤袴』と書かれるということです。
フジバカマの香り
フジバカマは中国では「蘭草」「香草」「香水蘭」と書かれるように、香りも特徴的な植物であり、古くから芳香剤や防虫剤として活用されてきました。
日本でも万葉の時代から、フジバカマを干した茎や葉を水につけて女性が髪を洗っていたということです。
現代でもフジバカマの香りは、消臭効果や沈静効果などがあり、アロマテラピーや入浴剤などに活用されているようです。
フジバカマは生草のままでは無香で、茎や葉を乾燥させるとこで「桜餅」のような香りを放つそうです。
花に香りの成分があるのではなく、茎や葉に含まれるクマリン配糖体というものが乾燥(半乾き)することによって変化し香るということです。
しかし、私がフラワーアレンジメントに使ったフジバカマは、生きた状態のものでしたが爽やかな香りがしました!
フジバカマの香りが気になり、「花が香るのかな?」と、花の匂いを嗅いでみましたが匂いはありませんでした。
茎についた状態の葉も香りませんでした。
調べてみたところ乾燥させるだけではなく、生葉の場合、葉を手のひらに乗せてパンと叩くとほのかに香るということが分かりました。
確かに、フジバカマの葉を1枚取って叩いてみたところ、ほのかに香りがしました。
しかし、アレンジメントをしていた時に私は葉を叩いてはいません・・・。
そこで思いついたのが、フジバカマの茎の表皮を削ったことです。(水揚げのためにしました。)
表皮を削ったことによって、茎に含まれる成分から香りが出たのだと思われます。
香りも「桜餅」のような香りではなく、もっと爽やかな感じだったのは、乾燥させてない状態だったからかもしれません。
乾燥したフジバカマの香り(追記)
この記事を投稿した次の日、写真に撮ったフジバカマの生葉が乾燥していました。
乾燥したフジバカマの香りを嗅いでみると、確かに「桜餅」の匂いがしました。
乾燥してない時は爽やかな香り、乾燥したら「桜餅」の香りがするフジバカマは、香りを二度楽しめる興味深い植物ですね。
フジバカマの水揚げ法
表皮を削って割る
私がフジバカマの茎の表皮を削ったのは、水が下がってしまったからです。
フジバカマを購入後に水切りをしたのですが、しばらくすると水が下がり、花が下を向いてしまいました。
そのため、もう一度水切りをした後、水揚げが良くなるように茎の表皮を3cmほど削り、半分に割りました。
このように、茎が硬く水が下がりやすい植物は、水に浸かる部分の表皮を花バサミなどで削り、半分に割ることで水が上がりやすくなります。
表皮を削って割る方法は、枝物にも効果的です。
茎を叩いてつぶす
水揚げをよくする方法として、水に浸かる部分の茎を花バサミの持ち手などで叩いてつぶす方法もあります。
この方法はフジバカマにも、茎が柔らかいブルースターのような植物にも効果的な方法です。
※茎のつぶし過ぎには注意してください。水の通り道の導管が傷み、水揚げが悪くなってしまいます。
まとめ
今回の記事では、「秋の七草」の一つ、フジバカマについて特徴や香り、水揚げの方法をご紹介しました。
秋の風情を感じ、香りの効用も期待できるフジバカマです。
フラワーアレンジメントの花材に使ったり、花瓶に挿したりして楽しんでいただけたら嬉しいです。