花の咲く日まで
我が家の庭木に「南天」があります。
「南天」は、名前が「難を転ずる」に通じることで、昔から庭木として植えられてきました。
また、「南天」の花言葉は、「私の愛は増すばかり」「福をなす」「良い家庭」「幸せ」ということで、とても縁起の良い木として知られています。
「南天」は、常緑の低木で、冬に葉が落ちないため落ち葉を掃除する手間もかかりません。
剪定なども簡単なため手軽に楽しめる庭木です。
初夏には小さな白い花が咲き、秋には葉が紅葉し、冬には真っ赤な実をたくさんつける「南天」の木は、四季を通じて変化を楽しめます。
縁起も良く、赤い実と緑の葉のコントラストが美しい「南天」は、お正月用の飾りや生け花、アレンジメントなどに使われます。
我が家の「南天」の木は、ここへ引っ越してきた時に、実家から株分けしてもらったものです。
庭に植えて2年半ほどになりますが、今年初めて花が咲きました。
「南天」の木の植え付けに適した時期は2月から4月ということですが、植え付けの時期を考慮せず、11月に株分けをしてもらって庭に植えてしまいました。
植え付けの時期も悪く、また、今までとは違う土地に植えられたストレスもあったのだと思います。
庭に植えた「南天」は、その後だんだんと葉を落とし、1年半ほど葉の無い枯れ木のような状態でした。
枯れ木のような「南天」を見て、私は、植え付けた時期も悪かったり、この土地に合わなかったりで枯れてしまったのだろうと思っていました。
しかし、昨年の梅雨の時期、降り続いた雨の後に庭の様子を見ると、「南天」の木に青々とした小さな葉っぱがたくさん出ていたのです!!
それからグングン成長し、昨年は葉だけでしたが、今年は初めて花が咲きました!
住み慣れた土地を離れ、慣れない状況に身を置かれた「南天」。
それでも、自らの葉を落とし、維持できるだけのエネルギーでじっと耐え、見えない土の下で徐々に根を伸ばし、ついに立派な花を咲かせたのです。
そのような「南天」の生命力に感動し、その様子が、困難な状況に陥った時の人間の姿にも当てはまるのではないかと感慨深く感じました。
困難に打ち当たり、手も足も出ない状況になったとしても、生きることを諦めずじっと耐えて心と体のエネルギーを蓄え、長い期間を経て立派な花を咲かせていく。
このような人間の成長を、「南天」の変化に重ね合わせて見ることができました。
植物の生きる姿から、大切なことをたくさん教えてもらっています。